建築関連DB
伽藍(がらん):
寺院の主要な建物群。
七堂伽藍(しちどうがらん):
一般に金堂、塔、講堂、鐘楼、経蔵、僧坊、食堂の七つを七堂伽藍と呼ぶ。禅宗では、山門、仏殿、法堂、僧堂、庫裏、東司(とうす)、浴室とされる。つまり、宗派や時代によってまちまちである。実際には、単に多くの建築物を擁する大寺院を七堂伽藍と呼ぶことも少なくない。
入母屋造(いりもやづくり):
上部においては切妻造(長辺側から見て前後2方向に勾配をもつ)、下部においては寄棟造(前後左右四方向へ勾配をもつ)となる構造をもつ屋根。
切妻造(きりつまづくり):
屋根の最頂部の棟から地上に向かって二つの傾斜面が本を伏せたような山形の形状をした屋根。
寄棟造(よせむねづくり):
4方向に傾斜する屋根面をもつ屋根。
宝形造(ほうぎょうづくり):
4枚の屋根がすべて三角形になる造り。六角形であれば「六注」、八角形であれば「八注」という。
流造(ながれづくり):
切妻造・平入であるが、側面から見た屋根形状は対称形ではなく、正面側の屋根を長く伸ばす。屋根形状は優美な曲線となっている。正面の柱間が1間(柱が2本)であれば一間社流造、3間(柱が4本)であれば三間社流造という。
切妻造(きりつまづくり):
屋根の最頂部の棟から地上に向かって二つの傾斜面が本を伏せたような山形の形状をした屋根。
神明造(しんめいづくり):
日本の神社建築様式の1つ。 伊勢神宮や熱田神宮に代表される。神明造の構造は、掘立柱・切妻造・平入。円柱の柱や鰹木(かつおぎ:屋根の上に棟に直角になるように何本か平行して並べた部材、棟の補強が目的)を除き、ほぼ平面的に加工され直線的な外観となる。優美な曲線が与えられる大社造とは対照的。両国国技館の土俵の上のつり屋根も神明造。
妻入・平入(つまいり・ひらいり):
日本の伝統建築において、建物屋根の「棟(むね)」に対して直角に切り下ろした側を「妻(つま)」、棟と並行する側を「平(ひら)」とした場合、妻入とは建物の出入口がこの「妻」にあり、「平入」は、「平」にある。
本瓦葺(ほんがわらぶき):
平瓦と丸瓦とを交互に組み合わせて並べる屋根の葺き方。現代多く用いられている瓦はこの改良版。
桟瓦葺(さんがわらぶき):
丸瓦と平瓦を一体にした瓦を敷き並べた葺いた屋根。軽量化をはかった。現在の一般的な瓦の原形となる。
檜皮葺(ひわだぶき):
檜(ひのき)の樹皮を密に重ねて葺いた屋根。
銅瓦葺(どうがわらぶき):
木材で本瓦葺きと同じような凹凸形状をつくり、その表面に厚さ0.5mmに伸ばした銅板を張り付けて仕上げた屋根のふき方。雨水が内部に浸透しないように、接続部分に折り目をつけてかみ合わせながら重ねて行く。耐火性、耐久性に優れる。
杮葺き(こけらぶき):
木材の薄板を用いて施工する板葺(いたぶき)で、板の厚さが2~3mm(杮板)のもの。
木賊葺(とくさぶき):
木材の薄板を用いて施工する板葺(いたぶき)で、板の厚さが4~7mm(木賊板)のもの。
栩葺(とちぶき):
木材の薄板を用いて施工する板葺(いたぶき)で、板の厚さが1~3cm(栩板)のもの。
銅板葺(どうばんぶき):
銅製の板を用いて施工された屋根。 軽量で耐久性に優れている。 時間の経過とともに表面に緑青というさびの一種が出て、この緑青が表面を覆うことにより、味わいのある美しい色へと変化し、高い耐久性を保つといわれる。
瓦棒銅板葺(かわらぼう どうばんぶき):
屋根の(雨の)流れ方向に一定間隔で桟(さん:瓦棒)を裏板の上に打ち付け、その上に銅板を敷き、桟の上にも銅板をかぶせる。平葺きに比べて、温度変化による銅板の伸縮を瓦棒の間で吸収できる。また、間隔を金属板の幅以下の寸法にしておくと、金属板の流れ方向の継手がなくなるので、雨仕舞に優れる。
茅葺(かやぶき):
茅(かや:ススキやイネ科の植物チガヤなど)を材料にして葺く屋根。
錣屋根(しころやね):
大棟から軒まで一枚の面ではなく、一段の区切りをつけてすぐその下から軒までを葺く形式。切妻造の屋根の4方向に葺き下ろしの屋根(庇)を付けたもの。
裳階(もこし):
軒下壁面に付いた庇(ひさし)状構造物。屋根の下にもう一重屋根をかけるかたちで付ける。元来は風雨から構造物を保護するために付けられたものだが、建築美のために付けられた建物も多いと考えられている。
破風(はふ):
切妻造や入母屋造などにできる、妻側の三角形部分の造形。妻壁や破風板(はふいた)などを含む部分。
千鳥破風(ちどりはふ):
切妻造の屋根の三角の部分(妻側)を葺き降ろしの屋根に直接置いて造られるもの。古くは、大きな屋根などで、窓の開口が難しくなった階層などに出窓として造られた。時代が下がるにつれて単に飾りとなり、小屋裏に部屋さえも持たなくなることが多くなった。
唐破風(からはふ):
中央部を凸形に、両端部を凹形の曲線状にした破風。向唐破風と軒唐破風がある。
向唐破風(むこうからはふ):
葺き下ろしの屋根の上に付けられた唐破風。出窓または装飾の目的で付けられる。
軒唐破風(のきからはふ):
軒の一部を変形させた形の唐破風。
書院造(しょいんづくり):
寝殿造から発展して桃山時代に完成を見た上流階級の住宅様式。門を入ると広間 (あるいは主殿) があり、その奥に接客のための対面所、居間および寝室である書院、御寝所があり、さらに奥に夫人の居室である御上(おうえ) がある。 書院を建物の中心にした武家住宅の形式。
懸け造(かけづくり):
山や崖にもたせかけたり、谷や川の上に突き出したりして建てること。懸崖造り(けんがいづくり)、舞台造りともいう。清水寺本堂が有名。
三門(さんもん):
空門・無相門・無願門の三境地を経て仏国土(仏の住む土地)に至る門とされている。禅宗寺院でよくみられる。
本堂(ほんどう):
伽藍(がらん)の中心をなす建物。本尊を安置する。禅宗の仏殿、浄土宗の御影堂、真宗の阿弥陀堂など。古くは金堂(こんどう)といった。また、比叡山延暦寺や上野寛永寺では、根本中堂という。
金堂(こんどう):
本尊を安置する仏殿。本堂。
御影堂(みえいどう):
寺院を開創した僧、または一宗の開祖の御影を安置する堂。開山堂。祖師堂。
開山堂(かいざんどう):
仏教寺院において開山(寺院を開いた人)の像を祀った堂。
仏殿(ぶつでん):
禅宗寺院で、伽藍(がらん)の中心にあり、本尊を安置し礼拝する建物。
法堂(はっとう):
禅宗寺院において、僧侶が仏教の教えを講義したり公式の法要が行われる場所。古来、龍は仏法を保護する瑞獣(ずいじゅう)といわれ、禅宗の法堂の天井にはよく描かれている。
講堂(こうどう):
経法を講義し、法会や儀式を行う主要な堂の一つ。禅宗寺院の法堂。
庫裏(くり):
寺務所兼台所。小寺院では住職の居所である方丈をも兼ねる場合がある。
方丈(ほうじょう):
もともとは一丈四方すなわち四畳半ほどの部屋または建物の意味。転じて、寺の住職の居室という意味になった。
経蔵(きょうぞう):
一切経(いつさいきよう)などの経典を納める建物。経堂。経楼。
輪蔵(りんぞう):
経蔵の中央に、中心軸に沿って回転させることが可能な八面等に貼り合わせた形の書架で、そこに一切経を収納した回転式書架。
阿弥陀堂(あみだどう):
阿弥陀如来を本尊とする堂。
勅使門(ちょくしもん):
寺院で、天皇の意思を直接に伝えるために派遣される勅使が通る門。
多宝塔(たほうとう):
下層が方形で、上層が円形の平面をもつ二重形式の塔。中国、朝鮮にはこの形式はない。日本で創始されたといわれる。
高麗門(こうらいもん):
16世紀末期ごろより造られた始めた門。2本の本柱の上に通常切妻の屋根をのせ、本柱のうしろ(内側)にそれぞれの控柱を立て、それぞれ対となる本柱と控柱の間にも小さい切妻の屋根をのせた門。
薬医門(やくいもん):
前方(外側)に2本、後ろ(内側)に2本の4本の柱で切妻の屋根を支える。特徴は、屋根の中心の棟が、前の柱と後ろの柱の中間(等距離)に位置せず、やや前方にくること。従って、前方の2本の柱が本柱として後方のものよりやや太く、加重を多く支える構造になる。
平唐門(ひらからもん):
平入り(日本の伝統建築において、建物屋根の「棟(むね)」に対して直角に切り下ろした側を「妻(つま)」、棟と並行する側を「平(ひら)」とした場合、建物の出入口がこの「平」にある様式)で、棟の側面に唐破風(からはふ)が施された門
平入り(ひらいり):
日本の伝統建築において、建物屋根の「棟(むね)」に対して直角に切り下ろした側を「妻(つま)」、棟と並行する側を「平(ひら)」とした場合、平入とは建物の出入口がこの「平」にあるものをさす
塔頭(たっちゅう):
禅寺で、高僧の死後その弟子が師の徳を慕って、その敷地内に建てた小院または高僧が引退後に住した小院。
末寺(まつじ):
本山、本寺に従属する寺。江戸時代に本末制度が確立されたが、それは江戸幕府が本山を統治下におくためだったといわれる。
別所(べっしょ):
仏教寺院の本拠地を離れた所に営まれた宗教施設。聖とよばれる僧侶が寺院周辺などに集まって修行するために庵や仏堂を設けた場所
木連格子(きづれこうし):
入母屋造や切妻造の三角形の妻壁に格子を入れたもの。
懸魚(げぎょ):
入母屋造や切妻造の屋根の妻において、破風板(はふいた)の三角形の頂点部分に取り付けられた装飾用の材。当初は、火災を嫌って水に関係の深い魚の形を付けることが多かったため、この名がついたという。
蟇股(かえるまた):
社寺建築などで、柱と柱をつなぐ横木の梁(はり)の上で、屋根を支えるために横に渡した桁(けた)との間に置かれる山形の部材。本来は上部構造の重みを支えるもの。のちには単に装飾として、さまざまに彫刻が施されて破風(はふ)などにつけられた。カエルが足を拡げた形を連想することからこの名がついたといわれる。
大棟(おおむね):
切妻屋根、寄棟、入母屋などの屋根の最上部にある水平な棟。
五間三戸(ごけんさんこ):
正面の柱の間が五つ(五間)で、入り口の部分が三間である建物(門)。
方三間(ほうさんけん):
柱の間が三つ(三間)の幅の正方形の建物。
本地堂(ほんじどう):
「日本の神は仏が姿を変えて現れた権現(ごんげん)である」とする本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)に基づいて、その神の本来の姿とされる本地仏を神社に祀るためのお堂。明治時代始めの神仏分離政策によって、その多くは姿を消していった。
放生池(ほうじょうち):
捕えた魚類などを放してやるために造った池。仏教における、慈悲行の表れを意味する。
須弥壇(しゅみだん):
仏教寺院において本尊を安置する場所であり、仏像等を安置するために一段高く設けられた場所のこと。
厨子(ずし):
仏像、仏舎利、教典、位牌などを中に安置する仏具。
天蓋(てんがい):
仏像や住職が座っている上に翳される笠状の仏具
螺鈿(らでん):
伝統工芸に用いられる装飾技法のひとつ。貝殻の内側の虹色光沢を持った真珠層の部分を切り出した板状の素材を、漆地や木地の彫刻された表面にはめ込む手法。
向拝(こうはい):
社殿や仏堂の正面に、本屋から張り出して庇(ひさし)を設けた部分。参詣人が礼拝する所。
花頭窓(かとうまど):
上枠を火炎形(火灯曲線)または、花形(花頭曲線)に造った特殊な窓。火頭窓とも書く。
連子窓(れんじまど):
四角の窓枠のなかに縦あるいは横に、方形(あるいは菱形) 断面の棒 (連子子) を、その稜を正面に向けて並べた窓。扉はない。
台輪(だいわ):
建物や指物(さしもの:釘などを使わず組み物で造った家具や建具)の上方または下方にある平たい横木。禅宗仏堂の柱の頂部、たんすの地板の下などにみられる。
唐戸(からど):
開き戸の一種で、古くは、神社や寺院などの出入り口に使われた木製の戸。現在では一般住宅にも使われている。板唐戸と桟唐戸がある。
桟唐戸(さんからど):
框(かまち:戸・窓・障子などの周囲の枠)の枠の中に縦桟と横桟を組み、その間に薄板の鏡板をはめたもの。現代でも、洋風の木製ドアとして、一般住宅などでも用いられ、框戸(かまちど)とも呼ばれる。
板唐戸(いたからど):
社寺建築などに開き戸として使われる扉の一種で、框(かまち:戸・窓・障子などの周囲の枠)を使わず、1枚もしくは数枚の板を重ねてつくられる開き戸。
蔀戸(しとみど):
板の両面に格子を組んだ戸。長押 (なげし:鴨居(かもい)の上や敷居の下などの側面に取り付けた、柱と柱の間をつなぐ横材) から吊上げる構造。上下2枚に分れ、上半分だけ上げるものを半蔀(はじとみ) という。寝殿造,住宅風仏堂,神社の拝殿などに用いる。
舞良戸(まいらど):
書院造りの建具の一。框(かまち)の間に板を張り、その表側に舞良子(まいらこ)とよぶ桟を横に細かい間隔で入れた引き違い戸(2本のレール、または溝の上で、2枚の戸を左右のいずれかに引いて、開閉する形式のもの)
鏡天井(かがみてんじょう):
格子を組まず、鏡のように平面に板を張って仕上げた天井。
身舎(もや):
主要な柱に囲まれた家屋の中心部分。ひさしはこの部分から四方に差し出される。 家人が日常起居する建物。離れなどに対する表現。おもや。ほんや。
一宇(いちう):
一軒の建物。
堂宇(どうう):
堂の建物。
丹(に):
赤色の土。水銀と硫黄と化合して出来る(硫化水銀)赤色の土。丹砂・朱砂・辰砂。
繧繝(うんげん):
建築,絵画,工芸などの装飾文様における彩色技法のひとつ。同一系統の色彩の濃淡の変化を,ぼかしの方法によらず、濃い色調から淡い色調へ(あるいはその逆)段階式に区切りをつけながら塗ることをいう。普通、外側に最も明るい(淡い)色をおき、内側へしだいに暗く(濃く)2~3段、もしくはそれ以上に並べていくが、外側を暗色とし内側に向かってしだいに明色とする場合は逆繧繝と呼ぶ。
胡粉(こふん):
顔料のひとつ。現在では貝殻から作られる、炭酸カルシウムを主成分とする顔料を指す。かつて中国の西方を意味する胡から伝えられたことから、胡粉と呼ばれる。古くは鉛白(塩基性炭酸鉛)を指した。
宝相華(ほうそうげ):
唐草文様の一種で、唐草に、架空の五弁花の植物を組み合わせた花文。中国では唐代、日本では奈良・平安時代に装飾文様として盛んに用いられた。
漆喰(しっくい):
瓦や石材の接着や目地の充填、壁の上塗りなどに使われる、消石灰(水酸化カルシウム)を主成分とした建材
枯山水(かれさんすい):
日本特有の庭園様式の一つ。平庭に石組みを主体とし、水を白砂に代えて山水をあらわした庭。
池泉回遊式(ちせんかいゆうしき):
池とその周囲を巡る園路を中心に作庭された庭園。他に池泉式庭園には次のようなものがある。
•池泉船遊式庭園(池泉に船を浮かべて、庭の景観を楽しむ)
•池泉観賞式庭園(庭に面した建物から観賞することを主体とする)
•流水観賞式庭園(流水・曲水を主体として構成された庭園)
遣水(やりみず):
庭園などに水を導き入れて流れるようにしたもの。水中に底石を置いたり、流れを変える横石などを配置し、流れる水の軌跡を変える工夫が施された。室町時代以降は枯山水の庭園が流行してきて次第に衰退した。
三尊石組(さんぞんいしぐみ):
仏像の三尊仏のように、中央に背の高い主石(中尊石)を、左右に主石より低い添石(脇侍石)を配した構成で、もっとも基本的なデザイン。
壺庭(つぼにわ):
建物と建物との間や、敷地の一部につくった小さな庭
借景(しゃっけい):
造園技法のひとつ、庭園外の山や樹木などの風景を、庭を形成する背景として取り入れたもの
古律黄鐘調(こりつおうしきちょう):
鐘の音で、聖徳太子が音律の調整に用いたという国宝妙心寺の鐘と同律の音のこと。 基本振動数129サイクル全音持続約13秒基本音の唸り10秒に3回という。
乳(ち):
梵鐘(ぼんしょう)の表面上方に多数並んでいるイボイボ。
撞座(つきざ):
梵鐘で、鐘を撞く撞木(つきぎ)が当たる場所。対称の位置に二か所設けることが多い(四か所の場合もある)。撞座の位置が低いほど低い音で長く唸らせるっことができるといわれる。
龍頭(りゅうず):
梵鐘を吊るすため頂部に設けた釣り手。U字型で、二頭の龍の頭がデザインされることが多い。U字の面(長円方向)と撞座(つきざ)を結ぶ線が直交するか平行かで音の響きが違うとされる。
駒の爪(こまのつめ):
梵鐘の縁の外側に膨らんでいる部分。ここの厚さが厚く、内径が真円から微妙にずれている方が音の唸りが増すといわれている。