ー甲斐健の旅日記ー

モネの庭/世界的画家モネの絵画を再現した庭園

 「ゆずの里」で知られる高知県安芸郡北川村は、幕末に坂本龍馬と共に薩長同盟を演出し、明治維新への道を開いた功労者の一人・中岡慎太郎のふるさとです。この人口1,200人余りの小さな村に、世界に誇る観光スポットがあります。「モネの庭」です。この庭は、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍したスランスの画家クロード・モネがこよなく愛したシヴェルニー(フランス北部の町)の自宅の庭をモデルにして造られました。

 モネは、43歳の時に列車の窓から見た美しい景色に魅せられ、シヴェルニーに移り住んだといいます。モネはこの地に理想の家と庭を造り上げることに力を注ぎました。特に、理想の庭づくりは、モネにとって創造の源泉ともいえるものでした。彼にとっては、キャンパスに絵を描くのとまったく同じことだったのです。こうして創りあげたシヴェルニーの庭は、「まるでパレットのような庭」「生きた美術館」と評されました。この地に移り住んでからのモネは、この美しい庭を題材として数多くの名作を世に生み出し続けました。

 北川村では、早くからフランス・シヴェルニーとの交流を深め、北川村モネの庭造りを進めてきました。そして平成11年(1999)、アカデミー・デ・ポザール終身書記のアルノ―・ドートリヴ氏から、それまで門外不出だった「モネの庭」の名称を使うことを許されたのです(開園は2000年)。特に、モネが熱望しながらフランスでは開花させることができなかった熱帯性の青いスイレンも、北川村モネの庭では見ることができます(青い睡蓮は6月下旬~10月下旬)。

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 モネの庭へは、ごめん・なはり線の終着駅・奈半利駅から北川村営バスに乗って、「モネの庭」で下車します。所要時間は9分です。モネの庭には、水の庭、光の庭、花の庭の3つの庭があります。また、駐車場の西の小高い場所には、シヴェルニーのモネのアトリエと家をモチーフにデザインされたギャラリー・ショップがあります。緑色の鎧戸(よろいど)や外観のレンガ色はモネの家とそっくりだそうです。館内には、モネの絵画(複製)、モネの暮らしぶりがわかる展示などがあり、モネの紹介ビデオを見ることもできます。また、カフェ モネの家では、モネがみずから創作した料理のレシシピを活かしたメニュー、デザートや地元の食材を使った料理を楽しむことができます。

 以下に、3つの庭の概要を紹介します。

水の庭

 駐車場の南東にあるチケット売り場から庭園内に入ると、まず「水の庭」に出ます。池の周りには、藤棚・柳・桜をはじめ色とりどりの花々が植栽されています。池には青、白、赤のスイレンが咲き、湖面に映る周囲の樹々や花々と調和して、まさに「モネの世界」へと私たちをいざなってくれます。また、池の周囲と中の島に架かる太鼓橋やバラのアーチは、日本文化と西洋文化との融合を表現しているといわれます。日本の浮世絵に魅了され、生涯を通じて浮世絵のコレクションを続けていたモネならではの「感性の庭」ともいえます。なお、モネの庭のスイレンの見ごろは、以下のようになります。

  • 赤・白のスイレン(温帯性睡蓮):4月下旬~10月上旬
  • 青のスイレン(熱帯性睡蓮)  :6月下旬~10月下旬

光の庭

 「水の庭」から遊歩道を進み、アスレチックや滑り台などの遊具がある「遊びの森」を抜けると、「光の庭」に出ます。43歳の時、地中海を旅したモネは、その風景の中にある「光による色彩」に強い感銘を受け、その後の彼の作品作りに大きな影響を与えたといわれます。「光の庭」は、モネが描いた作品(風景)をテーマにして作庭されました。「水の庭」と「花の庭」はモネの自宅にあったものを再現する形でつくられましたが、「光の庭」はモネの自宅にはなく、世界初の試みでした。このプロジェクトは、フランス・シヴェルニーのモネの庭管理責任者のシルべェール・ウェア氏の発案とョ協力によって実現したものです。しかし、2019年9月現在は、リニューアル工事中で入ることはできませんでした。2020年春にはリニューアル・オープンするそうです。

花の庭

 四季の花々が見事に配置され、まるで画家のパレットの色合わせを思わせるような庭です。花壇ごとに花の色を変えたり、一つの花壇に様々な色の花を巧みに配置して、私たちの目を楽しませてくれます。



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